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映画では、文章よりもっと露骨に「振る舞い」が見える。去り際、相手を見る目、手を出さなかった瞬間、負けた後の立ち方。台詞を止めても、その人物が何者なのかが画面に残る。

入口にしたい映画

『マルタの鷹』(1941)
私立探偵、欲望、裏切り。ハードボイルド映画の古典として分かりやすい。ハンフリー・ボガートの姿だけ真似るより、スペードが最後に何を優先したかを見る。
『三つ数えろ』(1946)
チャンドラーの『大いなる眠り』を映画化。話は入り組んでいるが、ボガート演じるマーロウの距離感、ユーモア、相手に媚びない態度には教科書的な魅力がある。
『過去を逃れて』(1947)
フィルム・ノワールの代表作。過去、欲望、運命に追いつかれる男を描く。勝つ話ではない。逃げ切れない状況で人間がどうなるかを見る映画だ。
『サムライ』(1967)
無口、孤独、儀式のような所作。表面だけなら最も真似したくなるタイプだが、その静けさが何を隠し、何を失わせるのかまで見ると面白い。

暗い照明、煙、夜の街は確かに格好いい。だが、それだけなら美術だ。映画が教えてくれるのは、格好いい人物ほど、その格好よさに代償を払っていることだと思う。

帽子の角度は真似していい。生き方まで帽子に任せるな。