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ハードボイルドを「男らしさ」と同じ箱に入れると、話が妙に窮屈になる。声が低い、腕っぷしが強い、酒に強い、弱音を吐かない。そんな採点表で決まるなら、ずいぶん簡単だ。

俺たちが見たいのは、性別より選び方だ。誰にも見られていないところで誠実でいられるか。自分より弱い立場の人間に態度を変えないか。怖い時に、怖さを理由に卑怯を選ばないか。これは男だけの仕事じゃない。

じゃあ、なぜこの教習所では時々「本物の男」なんて言い方をするのか。少し照れくさい憧れの呼び名だからだ。少年の頃に正義の味方を見て「こういう奴になりたい」と思った、その感じに近い。だから女だってハードボイルドな男になれる。理屈として妙なのは承知している。だが、その妙さごと残しておきたい。

他人からカッコよく見られたい、モテたい。入口はそれでもいい。問題は、拍手が止まった瞬間に全部やめることだ。最後には、自分が自分を見て「この振る舞いなら悪くない」と思えるところまで持っていく。

カッコつけから始めてもいい。最後は、カッコつける必要のない人間を目指せ。